がんばるな!小泉くん!!

はてなダイアリーの(笑)スーパーリスナークラブが珍しく政治ネタをとりあげている。特に石破茂の顔への言及には爆笑した。あと、小泉の人相が悪くなったというのにも同感。きょう開かれたイラク派兵決定の記者会見の時なんか、目がしょぼついててそうとうのお疲れ目様のように見えたのだが。
小泉純一郎の顔といえば、最近の『週刊文春』連載のいしいひさいちのマンガに彼が登場するたびに思うのは、「やけにリアルだ」ということだ。もしくは「ほとんどデフォルメされていない」といってもいいかもしれない。
これまでいしいのマンガに登場する著名人は、ナベツネなり森喜朗なりデフォルメがどんどん加速していき、たとえ似顔絵としてまったく似なくなってしまっても、それによってかえってその人物の本質が捉えられていたりしたものだが、小泉に関してはそのパターンは当てはまらない。その似顔はいしいにしてはきわめてまともだ。おなじ内閣の石原伸晃などはいつのまにかひょっとこ顔(つまり阪神の岡田新監督や野村Jr.のカツノリとおなじ顔)にされていたというのに、そういった誇張などは一切されていない。
それに加えて、小泉が登場するマンガの内容も、ひょっとしてこれは実話なんじゃなかろうかと思わせてしまうものが多い。たとえば、総選挙後に落選した山崎拓と復活を果たした加藤紘一首相官邸に呼び、「当落に関係なくYKKの結束をいま一度確認するのか」と期待させておきながら、当の小泉は加藤に対して山崎に浪人中のすごし方を教えてやってくれというだけで二人を落胆させる。このほかにも、イラク自衛隊を派遣してもし泥沼の事態に陥ったら、だいたいどのぐらいの時期に撤退させるかと閣僚に問われた小泉が、「そうだな、自衛官が五人ぐらい死んだら」と答え――断っておくがこれはイラクで日本人外交官が殺害される以前に発表されたものである――周囲から「ほんとに冷たいやつだな……」と溜息が漏れるというものもあった(以上、手元に現物がないのでうろ覚えで書いているが、だいたいそんな感じだと思っていただきたい)。
ぼくはこれを読んでつくづくいしいの人間に対する洞察力に感服してしまう。上記のマンガに描かれた小泉の言動はまるで実際に見てきたかのようだ。おそらくいしいは小泉に対してこれっぽちも愛情を抱いていないだろう。少なくともマンガで茶化す相手としては実に味気ない人物だと思っているに違いない。それにくらべたら、前総理の森は頭に日の丸を立てたりと遊ぶ余地がたっぷりあって、読んでいてもその描きぶりが実に楽しそうに感じられた。しかし森みたいに遊ぶ余地がないとしたら、もはやリアリズムしかないといしいは考えたのではないか。おそらく彼はいま小泉を描くために丹念に新聞やニュースに目を通し、そこから「いかにもありそうな事実」をつくり出そうと日々アイディアを練っているはずである。
だが、現実の小泉はいしいが描く以上にどんどん冷酷になっていっているような気もしないではない。

※参考までにいしいひさいちの公式サイトにもリンクしておく。
http://www.asahi-net.or.jp/~eb9y-tmok/