『性生活の知恵』著者・謝国権死去

http://www.yomiuri.co.jp/obit/news/20040131zz01.htm
「国が謝る権利、これを“謝国権”と呼ぶ」なんてジョークを飛ばしたのは筒井康隆だっただろうか。
以下、参考までに鷲田清一による謝国権の短い評伝から引用。

性において女性は受動的であるべきで、イニシアティブをとるのははしたないという考えがふつうだった頃である。そうした時代に、『性生活の知恵』は、ペアによるオルガスムスの経験の共有ということを重視する性愛観をはっきりと打ち出した。(…略…)
あっけらかんとしたそのプレゼンテーションの手法がまた人びとを驚かせた。画家がデッサン用に使う木製の人形を使って、視覚的に表現した。しかも男女の人形が二体絡み合うのは出版倫理上まずいということで、一体ずつ別個に撮影され、見る人が頭のなかで組み合わせるという、何とも手の込んだやり方を選んだ。それが読者をいたく刺激し、その想像力を隠微にうごめかせ、結果として爆発的な売れ行きにつながったのであった。(…略…)
エイズの問題やメディアの進化とともに、テレフォン・セックスやのぞき部屋、あるいはコンピューターを使ったバーチャル・セックスなど、いわゆる分泌液なき性、器官なきセックスが一つのモードとして広まってきて、本書が採用した人形モデルによる、身体を交えないセックスが、皮肉にも現実化してきた。
鷲田清一「謝国権 ―オルガスムスの一致を重視する性愛観」、朝日新聞社編『二十世紀の千人8 教祖・意識変革者の群れ』朝日新聞社、1995年)

ちなみに、明石家さんま大竹しのぶの娘いまるをとりあげたのは謝国権》らしい(一行知識掲示板【過去編】のログ整理番号10)。へぇー。