はしご本

久々に神保町・池袋へ赴き、書店をはしご。新刊本に関してはネット書店で買うことも多くなったが、やはり神保町でしか見つからない本というのも(新刊本でも)ある。きょう神保町に来たのも、探している本がネット書店に在庫がないとわかったものの、そういえば以前、書泉グランデで見かけたことがあると思い出したからだ。案の定、その本は書泉グランデにあった。しかし何度来ても書泉グランデは独特の雰囲気をかもし出している。地下のアイドル関係の本のコーナーはいうまでもなく、左翼関係の本の充実ぶりや(実はきょうぼくがここで買ったのも成田闘争関係の本*1だったりして)、また鉄道関係のコーナーには素人を寄せつけない雰囲気がある。
書泉グランデで意中のものを買ってからは、東京堂へ。ここには改装以前より絶版文庫本のコーナーがあるのだが、そこでずっと探していた澤地久枝の『密約 外務省機密漏洩事件』(中公文庫)を見つけ、即ゲット。そのほか、美術評論家東野芳明のクルマに関するエッセイをまとめた『クルマたちとの不思議な旅』(中公文庫)*2寺山修司『対論/四角いジャングル』(角川文庫)を買う*3。これ以外にも、20年ほど前に角川書店から出されていた小雑誌『小説王』全号セットなんてすごいものを見つけたのだが、2万円以上するのを見てあきらめる。たしかこの雑誌は森永博志が編集してて、山川惣治絵物語少年ケニヤ』の再録や(たしかこの雑誌が出たころに角川でアニメ映画化されたんだよね)、上村一夫の『菊坂ホテル』や荒俣宏の『帝都物語』が連載されたのもこの雑誌だった*4
ところでこの絶版文庫コーナーを物色中に「何だか坪内祐三がいつもこういうふうに本を漁っていそうだなあ」と思っていたら、本当に坪内氏らしき人が近くを通りかかったのでビビる。
神保町のあとは池袋のジュンク堂とリブロをまわる。ジュンク堂に来たのは、友人から大塚英志の新刊『サブカルチャー文学論』(朝日新聞社)にジュンク堂だけ特別にコピー誌2冊*5が特典としてついているとの話を聞いていたので。そんな特典でもなければこの分厚い3000円近くする本などすぐに買う気にはならなかったのだが、まんまと大塚氏の戦術にハマッたというところか。それからジュンク堂ではもう一冊、菊地成孔『スペインの宇宙食』(小学館)を、リブロでは磯崎新福田和也の対談集『空間の行間』(筑摩書房*6を買う。

*1:朝日新聞成田支局『ドラム缶が鳴りやんで ―元反対同盟事務局長 石毛博道 成田を語る』(四谷ラウンド)。

*2:わりとこれは内容が後年発表された上野俊哉の『思考するヴィークル』などのヴィークル論に近いものを感じた。ただし上野がクルマを運転するのに対して、東野は免許も持たない完全な“助手席派”なのだが。

*3:寺山との対談相手の一人、篠田正浩の写真を見たら、メガネをかけていなくてちょっと驚く。篠田正浩といえば、ぼくのイメージでは、高木守道森祗晶と並ぶ「シニアグラスの似合う有名人(それもみんな岐阜出身)」の一人なのだが。

*4:ぼくが何でそんなことを知っているかというと、『Quick Japan』の創刊号で森永博志の特集をしてて、それでこの雑誌も紹介されていたから。

*5:コピー誌は、文学フリマの直接の発端となった「不良債権としての『文学』」と、『ファウスト』に諸事情で掲載されなかったという舞城王太郎論「世界が、もし、『舞城王太郎』な村だったら。」の2冊。

*6:同書のあとがきで、そもそも磯崎と福田を引き合わせたのがアリ・猪木戦などを仕掛けた康芳夫だと知って驚いた。