三塚博の「功績」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040425i514.htm
三塚博の訃報を知って、あ、『ギャルズライフ』を休刊に追い込んだ人だ、てなことを真っ先に思い浮かべたおれは一体いくつなのだろうか。ついでなので、この件について別冊宝島の『雑誌狂時代!』から引用しておく。

――事件勃発は、84年2月14日。自民党の政調副会長だった三塚博代議士が、衆議院予算委員会総括質問で「少女雑誌は『性欲講座だ』」と、少女誌批判をぶち上げたことに始まる。
 取り上げられたのは『ギャルズライフ』だけではなく『ポップティーン』『エルティーン』『キッス』『キャロットギャルズ』の5誌。ご丁寧にも、TV放送されているなか、持参した雑誌を閣僚や委員に配布し「『ギャルズライフ』というのであります……」などと説明。少年少女向けの有害図書の規制を鼻息荒く唱えたという。
(中略)
 その後はというと、TVで「教科書を出している学習研究社が出しております」と名指しされた『キッス』と『キャロットギャルズ』は翌日に即休刊。『ギャルズライフ』や『ポップティーン』は軌道修正することに。さらに『ギャルズライフ』は『ギャルズシティ』と誌名変更、数号後には編集長もすげ替えられる。雑誌のノリも落ち、1年後には休刊することになってしまうのである。
(中略)
 あぁ、三塚博がニクイー!
(高清水美音子「国会を騒がせた[ギャルズライフ]の中身とは?」、別冊宝島345『雑誌狂時代!』宝島社、1997年)

国会でとりあげられた翌日に休刊ってのはすごい影響力である。それ以後も、児童ポルノ法施行の煽りを受けて、お菓子系雑誌*1と呼ばれる雑誌のいくつかが休刊に追い込まれるなんてことはあったが、この場合、法律による規制でも何でもなく、単なる一議員の発言によって3誌もの雑誌が休刊に追い込まれたのだから異例中の異例の事態だろう*2三塚博の名前を歴史上に残すとしたら、国鉄民営化に尽力したなんてことよりもこの「功績」のほうがずっとふさわしいのではないか。何はともあれ、ご冥福をお祈りする。

*1:お菓子系雑誌」という語は三省堂の『デイリー新語辞典』に収録されていたりする。同項目はこちらを参照。

*2:ちなみにこの当時の文相は三塚と同派閥(安倍派=当時)の森喜朗なのだが、そのことも影響しているのだろうか。