ジャンクな映画見せろよーっ。ガムとか。

福家書店銀座店での相武紗季サイン会に参加してから、しばらく京橋のエクセルシオールカフェでまたーりしたあと*1新宿へ。ロフトプラスワンでのバカ映画イベント「シネマ秘宝館23」夜の部を観る。開演の7時すぎに場内に入るとほぼ満員だった。終演後、シネマ秘宝館館長の斎藤浩一氏に聞いたところ、今回はほとんどチラシも撒いていないのにこれだけ集まったとのこと。いやー、それだけ期待が集まっているということでしょう。
さて、今回のシネマ秘宝館の特集は『キル・ビル2』の公開を記念しての「きるびるまつり」。『キル・ビル』へのオマージュを込めた(!?)各作家の作品が上映される。同作の主人公であるザ・ブライドには目もくれず、ひたすらゴーゴー夕張にスポットを当てた中村犬蔵監督のCGアニメ『Chapter12 Road to GoGo』は、監督の萌えっぷりに強く共感したし(ちなみに北海道の夕張の近辺には偶然にも「栗山」という土地があるそうです。へぇー)、松梨智子監督の『女教師ユマ』は、シネマ秘宝館副館長の酒徳ごうわく氏をして「とても『キル・ビル』を二、三回観てつくった映画とは思えない」と言わしめた作品で、ユマという名の主人公が黄色いトラックスーツを着ていること以外はほぼ『キル・ビル』の世界から逸脱している。つーか、松梨智子以外に誰がこんな映画を撮るというのか。処女の女教師が理想の男を求めて数々の人々を殺めつつ世間をさまようという、この手の業を背負った女の物語は、松梨作品ではすでに『毒婦マチルダ』などでも展開されており監督の得意とするところだと思う。しかしオチの元ネタが『マデ●●●●の●』だなんて言われるまでまったく気づかなかったよ! そういや前作の『近未来蟹工船レプリカント・ジョー』公開の時も、松梨監督は「タイトルの元ネタが小林多喜二の『蟹工船』だってみんなあまり気づいてくれないんです」と話してたし、その作家と受け手とのすれ違いというのがまたこの監督ならではなのかなーとふと思ったりして。
キル・ビル』特集以外では、高岡晃太郎監督の『チャチャチャゲイモス85』というテレビゲームをネタにした作品にバカウケ。酒徳さんがすでに日記に書いてらっしゃる通り(id:atamaizer:20040429)、「ジャンクな食べ物くれよーっ。ジャンクな食べ物、ガムとかよぉーーーっ!!」というセリフは名ゼリフだと思う。だいたいガムって食べ物かよ。それに加えて上映後に高岡監督が話していた同作品の原案というのがこれまたおかしくて、作中に登場する筐体についた円錐型の尖った部分を天井に突き刺してプレイするというゲーム機は、もともと、天井に刺し込んだ部分から二階の住人の血液を吸い取り、それがゲーム機の動力になるというものを考えていたという(実際には天井に刺すという以外はこの案は採用されていないが)。一体どっからそんな発想が出てくるのか。なお、『チャチャチャゲイモス85』というタイトルも、何か元ネタとなるゲームがあったのかと思いきや、テキトーにつけたものだそうだ。

*1:アイスティーを飲みながら舞城王太郎の「ピコーン!」(『熊の場所』所収)を読んでいた。おもしれー。高校時代あたりに読んでたらもっとハマッたと思う。