友人の五所氏に誘われて早稲田大学での坪内祐三と吉田豪による特別講義「古本メッタ斬り」に潜り込む。吉田豪氏が教卓へ山のようにタレント本を積み上げて、そこからあれこれ選んでは四方山話を繰り広げるというおおよそ大学の講義らしからぬものだった(って、実はこれが大学の講義初体験だったりするぼくが「らしからぬ」なんて言うのもおかしな話だけど)。
その中で特に印象に残ったのは、ダン池田の芸能界暴露本の話から紺野美沙子についてネタが転がった際の坪内氏の話。坪内氏によれば、田中康夫はデビュー当時、好きな女性なタイプとして紺野の名前をあげていて、『なんとなく、クリスタル』の主人公もおそらく紺野がモデルなのではないかという。しかしその翌年になると田中は急にコラムで紺野を「清純そうに見えて実は男好き」などと罵倒し始める。この変化から察するに、おそらく地方育ちの田中康夫は、実際の紺野の話を聞いて裏切られたと思ったのではないか、というのが坪内氏の説だ。そういえば、その後も田中康夫は、二谷友里恵や檀ふみなどと併せて紺野美沙子を「三越女」*1などと批判していたっけ。それにしても『なんクリ』のヒロインのモデルが紺野美沙子だとは思わなかったなー。映画版で主演を務めたのがかとうかずこというのもあんまりピンと来ないけど。
あと、印象深かったのは吉田豪氏の「タレント本はワインみたいなもので、とりあえず買ってからしばらく寝かしておく」という言葉。その後たとえば何か事件が起きた時に、そのタレントの過去の著作を読み返すと意外な発見があるという。しかしその何か起きた時のために、とりあえず買っておくとなるとほとんど賭けだよなー。おかげで吉田氏のもとにはすでに3000冊ものタレント本のコレクションがあり、それでも最近ではせんだみつおにインタビューした際に、せんだ氏の語ってた青島幸男だかの本をたまたま持っていて貸してあげたとか*2、きちんと役に立っているようである。そういえば、豪さんが一度『タモリ倶楽部』のタレント本特集か何かに出た時に、タモリが昔出した本を示したところ「これ、おれも持ってないんだよねー」と本人から感心されていたことを思い出した。