浅田彰氏からの指摘

昨日更新した5月27日付の日記(id:d-sakamata:20040527)で滝田修(竹本信弘)氏の処分をめぐる京大内での騒動について書いたところ、浅田彰氏からメールにて次のようなご指摘をいただきました。

私、浅田彰が竹本信弘について否定的な意見を述べたことは事実です。アントニオ・ネグリ同様、「革命的自然発生」に期待を寄せるあの種の人たちは、おっちょこちょいでどうしようもない事件に巻き込まれがちである(訴追された事件について彼らが有罪だと言っているのではありませんが)。とはいえ、それ以前に、私が大学の4年間(とくに経済学部の2年間)を竹本処分反対運動に費やし、大学当局や民主青年同盟との不毛な闘争に多大なエネルギーを注ぐことになったといういきさつがあるので、「やれやれ、全面的に支持できない人物を擁護するのにこんな苦労をしなければならないとは」という苦笑(多分に自嘲的な)をまじえて竹本信弘への否定的意見を述べているというニュアンスは理解しておいてください。

(以上、浅田氏の承諾を得て引用させていただきました)

浅田氏自身が書かれているように、学生時代の浅田氏が竹本処分問題にディープにかかわっていたという事実に対し、ぼくの先の日記における、「(竹本処分問題について)ちょうどその真っ只中に入学した浅田彰が冷ややかに語っているのを何かのインタビューで読んだことがある」という記述では、氏が問題から距離を置いていたようにもとれ、いささか言葉足らずだったと反省しています。どうも失礼しました。

で、そもそもぼくが読んだのは何だったのかちょっとうちの書棚を漁ってみたのだけれども、たぶんこれだったのではと思っていた本には以下のような浅田氏の発言が掲載されていた。

僕は七五年に大学に入学しました。ほかの大学では大学紛争は終わっていたんですが、京大は滝田修こと竹本信弘助手の処分問題でまだ揉めていて、経済学部はその渦中にありましたから、講義がまともに開けるような状態ではありませんでした。僕たちが学部長室を一年間占拠していたくらいですから。
(聞き手:矢内裕幸、『怖いもんなし23人の喋るぞ!』旺文社、1999年)

だがこれでは「冷ややかに語っている」とはちょっと言えないかもしれない。ひょっとしたら別のインタビューだったのだろうか……。
いずれにしろ、あんまりうろ覚えで文章を書くものではないな(特にこういうデリケートな問題は)と痛感した。と同時に、浅田氏から貴重な指摘をいただいたことを改めて感謝申し上げたい。どうもありがとうございました。