なんという偶然

知り合いでマンガ業界でも仕事をしているMさんという女性からのお誘いで、『のだめカンタービレ』で今年の講談社漫画賞を受賞した二ノ宮知子さんの受賞記念パーティーに潜り込ませていただく。場違いだとは思いつつ、野次馬根性からお誘いに二つ返事で応じたのだけれど、何となく心細いので前日になって友人を一人誘った上で、会場のある六本木へ。
夜8時前に会場前に集まり、Mさんが声をかけて集めたほかの出席者の方々に御挨拶。その際、ぼくが名刺を配ってまわっていたところ、出席者の一人である少女マンガ家の方がぼくの名刺をしげしげと見つめ、こんなことを聞いてきた。
「あの、失礼ですけど、近藤さんっておいくつですか?」
「27……ですけど」
「ひょっとして近藤さん、出身は名古屋のほうじゃないですか?」
「そうですけど……」
ここで改めて彼女の顔を見て、ぼくはあっと叫んだ。
「ひょっとして、○○○○さん!?」
何と、そのマンガ家さんはぼくの高校時代のクラスメイトだったのだ(イニシャルは全然違うけど、以下、仮にAさんとしておこう)。
Aさんとは特に親しかったというわけではないけれど、高校2年の時のクラスはわりとみんな仲が良かったせいか、お互いにすぐにわかった。しっかし、彼女がマンガを描いていたなんて初めて知ったなー。たしか美術部でも文芸部*1でもなかったよねえ……。そんなことをぼくがAさんに言うと、彼女は「隠れヲタだったから」と笑った。
それにしても、あのクラスから物書きが二人も出るなんてすげえ(あ、二人というのはぼくを含めてということですよ、一応)。そもそもぼくたちの通ってた高校は本当に田舎の高校で、まわりには駅前に小さな本屋があるぐらいで、あとはレンタルビデオ店なども一切ない文化的なものとはおよそほど遠い環境にあった。第一、それまで発表会と称していた行事が文化祭になったのはぼくらが入学した年にようやくだし、それも校外の人間で入場できるのは生徒の父兄のみ。またバイトやバイク通学は禁止とことごとく外部との接触は絶たれていた。そのせいかどうか(まあ歴史が浅いからというのもあるんだろうけど)先輩に著名人が出たなどという話もついぞ聞かない。だからこそよけいに、Aさんがマンガ家になっているというのが意外だった*2
ちなみにAさんはすでに何冊か単行本も出しているという。出版業界に入って10年経つというのに、まだ一冊も本を出していないぼくとはえらい違いである。ぬ〜、おれも成り上がらねば。せめて確定申告の際には税理士がつけられるような、そんなご身分になりたい。

*1:ちなみにぼくは文芸部だったのだけれども、1〜2年の時は女子部員のほうが多くて、ことごとくみんなヲタだった。その中にあって自分は完全に浮いていたなあ。

*2:とはいえ、本当に才能のある人は、環境などに関係なく世に出てくるとは思うんだけど。