新幹線が象徴する日本とはいずこに?

このあいだの文学フリマで販売した『Re:Re:Re:』についてぼちぼち言及・感想をいただいている。
id:sikenさんの『Re:Re:Re:』のvol.2への感想(http://d.hatena.ne.jp/siken/20041120)からは、新幹線に対する感覚には同じ日本でも地域によって結構温度差があることに気づかされた。宮崎出身のsikenさんにとって新幹線は乗るものというよりも見るものだという。これは名古屋出身のぼくにとっての飛行機と似たようなものかもしれない。とにかく飛行機というものをほとんど利用したことがないので、空港や飛行機そのものに対する憧憬……というか自分とはあまり縁のないものだという思いは、たぶんほかの地方出身の人たちよりも強いと思う。まあそれは、新幹線によって自分とこの地域が東京と大阪という二大都市に直結しているという一種の驕りと表裏一体のものなのだろうが。そう考えると、同じ関西でも、名古屋と同様に、東京へ行くにはやっぱり飛行機よりも新幹線のほうが便利な京都の人と、場合によって新幹線と飛行機とを使い分けているであろう大阪や神戸の人とでは新幹線/飛行機に対する感覚は微妙に違うような気もする。
まあ、これは何も新幹線に限った話ではないのだろう。同じく「日本を代表するもの」「日本的なもの」とされる、たとえば富士山や桜などについても似たようなことがいえるはずだ。これらに対するイメージの「地域格差」を細かく調べていけば、日本的なるものが、結局は地域間での温度差をほとんど無視したところにしか成立しない、単なるフィクションにすぎないことがもっとはっきりするのではないだろうか。