本当に男気のある人はインタビューのゲラに赤を入れないものらしい

夕方6時半よりジュンク堂池袋店で開催された吉田豪さんの『人間コク宝』(コアマガジンISBN:4877347585)刊行記念のトークセッションへ。同書の担当編集者で『ウラBUBKA』の編集長でもあるTさんを進行役に、本当にたくさんの裏話が聞けて大変楽しい時間をすごすことができた(ちなみにTさんは吉田さんの単行本第一作『男気万字固め』[エンターブレインISBN:4757704887]の担当編集者でもある)。
吉田豪さんが『BUBKA』などの雑誌に発表してきたインタビューをまとめた同書に登場するのは全員が全員香ばしい人たちばかりなのだが、その中でも世間的にいまもっとも注目されるのは田代まさしのインタビューだろう。その単行本収録に際して、本人に許可をとるため(事務所からは本人に直接連絡をとってほしいと言われたらしい)携帯に電話を連日かけ続けたもののまったくつながらず、そうこうしているうちに田代まさしは再逮捕されてしまったのだとか(おそらくTさんが電話をかけまくっていたのは、ちょうど田代がのちに一緒に捕まることになる女性とホテルでしけこんでいた時期だったものと思われる)。その後、Tさんは田代まさしの拘置されている野方警察署へ赴き、一回目は面識のない人とは会わないと面会を断わられたものの、ことづけの手紙を置いて帰ったところ、それからすぐに連絡があり面会を許され、その際、彼から差し入れを頼まれたという。その頼まれたものというのが、お金とか食べ物とかそういうものではなくて、『ブラックマンデーナイト』というヤンキーマンガの単行本の差し入れだったというから、いやはや何とも。そのほか、真木蔵人のインタビュー再録許可のために、わざわざ彼の経営する房総半島のサーファーショップまで赴いたとか(ちなみに真木蔵人と一緒に店を経営しているのはせんだみつおの息子らしい)、Tさんはなかなか大変だったようだ。
そのほか、『スマート』でインタビューした矢沢永吉は、同誌が宝島社発行の雑誌だと知るや、創刊当初の『宝島』で延々と渡辺プロの批判を書いたことを喜んで語ってくれたとか(インタビュー後の写真撮影でも永ちゃんは激しく動き回り、カメラマンが必死になって追っていたというのが、また永ちゃんらしい)、畑正憲ターザン山本は興奮した時のアクションがまったく同じだったとか(吉田氏いわく、畑正憲は扱う対象が動物だったから女性にも受け成功したのであって、ターザン山本ももし扱うのがプロレスではなく別のものだったら大成功を収めていたかもしれない、とのこと)、単行本に収録されていない人物も含めて、取材の際のインタビューイたちの様子などが吉田豪さんから次々に明かされ、実に面白かった。
それにしても、タレント本で占められた本棚とタレントグッズ(ヤフオクで「おれが買うしかないだろう」という使命感から落札した真理ちゃん自転車まであるらしい)が所蔵されているという吉田さん宅の9畳の部屋はぜひ見てみたいものだ。ちなみにきょう吉田さんが着ていたTシャツは『今夜は最高!』のタモリTシャツであった。
トークセッション終演後に行なわれたサイン会にて、Tさんを介して吉田さんにご挨拶し、名刺を交換させていただく。あとで気づいたのだが、安倍なつみの盗作事件について吉田さんにうかがえばよかったとちょっと後悔。きっと、ビートきよしがエッセイで加藤諦三の著書からパクリをしていたことなど過去の事例も色々とあげて語ってくれたに違いない。