「万国博覧会」はなぜ“死語”になったのか

1970年の大阪万博の正式名称は日本万国博覧会だった。しかし来年開催される愛知万博の正式名称は日本国際博覧会であり、万国博覧会という語は使われていない。たしかにもとより英語では万博はan international expositionと呼ばれているわけで、「万国」よりも「国際」のほうが正しい訳ではある(万博は国際博覧会条約に基づいて、パリに本部を置く博覧会事務局、BIE=The Bureau International des Expositions [英名:International Exhibitions Bureau]が登録・認定するものだということを考えても、万国博覧会というよりも国際博覧会と呼ぶほうがより正しいわけだ)。しかしそれ以前に「万国」という語が死語になりかけているというのも、「万国博覧会」という語が使われなくなった一因になっているのではないか。そんなふうに名称一つをとっても歴史的にゆらぎを見せる万博に対して、その名前を使うだけで使用料がとられるオリンピックが現在国際的なイベントとしてはずっと優位に立っているのは当然のことなのかもしれない。