限りなく蹴りたい背中の中心に近いノルウェイの森で、愛をさけぶブルー

ぼくが今月発売の『ウラBUBKA』で担当した今年の出版界を振り返るページに対して、id:erohenさんが言及してくださった(id:erohen:20041229)。出版界の一年間のできごとを表にまとめておきながら全然気がつかなかったのだが、今年はW村上の持っていた記録が更新された年でもあったんだなー(綿矢りさの『蹴りたい背中』が芥川賞受賞作としては村上龍の『限りなく透明に近いブルー』以来28年ぶりに100万部に達し、一方それまで村上春樹の『ノルウェイの森』上巻が保持していた国内作家の小説単行本の最多部数記録を、片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』が塗り替えた)。記録の更新といえば今年は、養老孟司の『バカの壁』が新書の部数記録を更新している。それまでの記録が1970年刊行の塩月弥栄子『冠婚葬祭入門』(カッパブックス)だったことを考えると、これはやはり注目すべきできごとだろう*1
まあ、そんなふうに出版界の動向を検証する上でも、ぼくの今回の仕事がお役に立てばとてもうれしいです。

*1:ちなみに塩月弥栄子というのはカリスマ主婦の元祖みたいな人。『冠婚葬祭入門』が売れたのは、本来親から子へと受け継がれるものであったはずのしきたりがなかなかそうも行かなくなってきたという時代背景もあったのだと思う。