これが角川イズムだ

ところで、角川春樹事務所の公式サイトに掲載された角川春樹インタビュー(http://www.kadokawaharuki.co.jp/diary/200411/davinci_01.html 初出は『ダ・ヴィンチ』特別編集の『金田一耕助 the Complete』というムック)は、彼がこれまで出版界や映画界でいかに新しいことを次々と手がけきたのかがわかって面白い。たとえば横溝正史の作品をすべて文庫として復活しようとした際、角川でさえてっきり横溝がすでに故人だと思い込んでいて、遺族に会うつもりで出かけたら本人が出てきて驚いたというエピソードなど、忘れ去られていたのにもほどがあるだろうという感じだ。まあ角川のおかげで横溝は晩年に一大ブームを巻き起こすことになったわけで、その点では非常に幸福な作家だったといえるが。あと、自分がかかわった映画のすべてのコピーを角川自ら手がけたというのは、弟子筋にあたる幻冬舎見城徹が、自ら担当した本の広告コピーはすべて自分で書くという形でしっかり引き継いでいるわけで、70年代に生まれたいわゆる角川商法が、90年代以降幻冬舎によっていかに相続されたかを考える上で非常に興味深い。