風流未来俳句

上の文章をUPしてから思い出したように、自分の高校時代の雑記帳(これも多分に漏れずコクヨのキャンパスノート)を引っ張り出してきたら、当時名古屋で石丸元章氏がパーソナリティーを務めていたラジオ番組への投稿の下書きが見つかった。投稿のほとんどは、『未来派ラジオ電波デリック』(92〜94年、CBCで放送)というその番組の「風流未来俳句」という1コーナーへ送ったものだ。このコーナーについては同番組の構成作家だったをかべまさゆきさんhttp://www.ipc-tokai.or.jp/~woquave/miraiHAIKU.htmlで紹介しているように、番組から季語ならぬ「未来key語」なるお題が毎週出され、リスナーはそれを織り込んで未来的な俳句を詠み、さらに解説をつけて送っていた。ぼくはこのコーナーの常連で、毎週のように投稿が読まれていたのだが、おそらくこれは番組の内容があまりにマニアックすぎて、そんなに投稿者がいなかったということもあると思う。参考までに恥ずかしながら、未来key語が「酸性雨」だった回に番組で読まれた投稿の下書きを2本(書かれた日付は1993年6月12日)ここに紹介しておく。

酸性雨 塔が溶ける音 心地好し
【解説】雨が降っている。いつもながらの酸性の雨だ。家の近くのテレビ塔が白い泡を出しながらジュワ〜ッという音と共に溶けていく。この音色が何ともいえない。ペンが遅々と進まぬ時、これを聞いてしまうともう大変だ。よせばいいのに戸棚からウイスキーを出してきて、音にうっとりしながら書斎でそれをたしなんでいるうちに眠りに落ちていってしまう。ああ、また来月号も原稿を落としてしまうことになるのか。いや、それ以上に不安なのは、「塔が全部溶けてしまったら、その後自分はどうしたらいいのか」だという今日この頃なのだが――。(しかし、これ、俳句の解説っつーより、どっちかというと20世紀末のサン○リーの広告に出てきた作家のエッセイみたいだよなー)

酸性雨ぢゃ濡れて行かう溶けぬほどに
【解説】近頃都に流行るもの。共に若き風流女と風流男。両人街でデイトをするに突如として小雨に降られる。女曰く「あなたお濡れになりまする。傘をさしませう」。男これを断わりて曰く「酸性雨ぢゃ濡れて行かう、溶けぬほどに」。女はこの台詞にいとおかしきこと限りなしと感じ入り、胸ますますときめくばかり。この話聞きて巷の中高年あだるとたちの「単なる強がり、うつけ者なり」との批判の声ありしが、この者共風流を解さぬ輩なり。風流人たれば無視するが如し。

意外というべきか当然ながらというべきか、結局12年前も自分はこんな文章しか書いていなかったんだなーということがよくわかった(二本目はインチキ古文なので、文法の誤りなどをマジにツッコまないでくださいね。ちなみに一本目は最後のカッコ内のツッコミも含めて当時のもの)。
こんなのがまだ雑記帳にはたくさん書き残されているので、もし好評であればまたこの手のメモをUPしようかと思います。いや、あくまでも「好評だったら」ですけど。