佐内正史「ゴミ」発言

草森紳一が「ゴミ箱」を自認する文章で思い出した。それは先月5日、青山ブックセンター本店で、雑誌『最前線』創刊を記念して藤代冥砂佐内正史の両氏が行なったトークライブでのこと。ふとしたはずみでティルマンスの話題が出*1、彼の写真はアートだから……というような話になった時、佐内氏がちょっと誇らしげに、「うちらは所詮ゴミですから」と口にし、さらにそれを受けて藤代氏も、写真集でも書店でどこに置いたらいいのかわからないものをつくりたいといつも思っている、といった発言をしていたのだ。
ジャンルこそ違えど、そんな彼らの発言にぼくは強い共感を覚えた。自分もいつか本を出すことがあれば、やっぱりどの棚に置けばいいのかわからない本を出したいと思うし、その意味ではぼくもまたゴミでしかないのだと思う。

*1:それは両氏が観客からの質問を受けていた時で、たしか藤代氏が思い出したように、ティルマンストークライブで観客から悩みを打ち明けられ、本気になって相談に乗っているうちに泣き出してしまった、という話をしたのが端緒だった。