イッセー尾形が昭和天皇役

こどものもうそうblog1月23日付
イッセー尾形演じる昭和天皇ベルリン映画祭に
アレクサンドル・ソクーロフ監督の新作映画『ソールンツェ(太陽)』で、イッセー尾形昭和天皇桃井かおり香淳皇后をそれぞれ演じるという。日本ではとても考えられない配役ではないか*1
果たして、イッセー尾形昭和天皇をどのように演じるのだろうか? 実在の人物、それも映像が数多く残っている(それゆえに人々のあいだに確固たるイメージがすでにできあがっている)現代史上の人物を演じる場合、おそらく大きく分けて、完全に当人の物真似をしてしまうか、物真似することを避けてあくまでも「自然体」で*2演じるかのどちらかになるように思う。
たとえば竹中直人は、自らの監督作品『東京日和』で荒木経惟――正確には荒木をモデルにした写真家――を演じる際、物真似をすることを意識的に避けた一方で、新藤兼人監督の『三文役者』では殿山泰司をあのキャラクターそのままに演じてみせた。あるいは同じ田中角栄の役でも、映画『小説吉田学校』において西郷輝彦(!)はムリヤリ声色を真似て若き日の角栄を演じていたのに対して、ビートたけしはテレビドラマで角栄を演じる話が持ち上がった際(結局この企画はぽしゃってしまったわけだが)、物真似はせず自分なりのイメージで角栄を演じることを宣言していた。
イッセー尾形の場合、昭和天皇を物真似で演じることも、「自然体」で演じることも、どちらもできそうである。むしろいまの尾形なら、下手に物真似などしなくても、演技すれば自然と天皇に似てくるような気がする。

●参考までにこちらもどうぞ
  id:d-sakamata:20040428「ポケットに天皇語録」「天皇の映画の計画」

*1:個人的には、いまの日本でもっとも昭和天皇を演じるにふさわしい役者はタモリだと思っているのだが。何せ、タモリの有名な密室芸「四ヶ国語麻雀」には昭和天皇が臨席するという幻のヴァージョンがあるそうだし、『いいとも』の「テレフォンショッキング」はゲストと当り障りのない会話をするところなど園遊会にそっくりだし、さらにはタモリと晩年の昭和天皇の身長はまったく同じ164センチだったりするのだ。そういえば、ここ数年タモリの口元がだんだん昭和天皇と似てきていると思うのはぼくだけだろうか。

*2:まあどんな名優でも完全な自然体で演技できる人間などいないわけで、より厳密には、演じる対象のイメージを自分なりに膨らませての演技、とでも言ったほうがいいだろう。