http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2005/0219.html(『ETV特集』HP)
ETV特集 世界に先駆けた大量輸送とスピード革命・開発に秘められた技術者の執念▽安全対策と環境の課題
「新幹線誕生40年・高速鉄道の歩みと未来」
ETV特集◇日本の経済や社会システムの変化にも大きな影響を与えてきた新幹線の40年の歩みと、これからの高速鉄道の在り方を探る。新幹線は「大量・高速」輸送を実現するために、車両の軽量化や空気抵抗の少ないデザインを追求するなどの新しい技術開発を行ってきた。さらに、ヨーロッパやアジアの交通ネットワークの拡大にも大きな影響を与えた。現在、騒音の低減や災害対策のシステム化の推進、二酸化炭素の削減につながる省エネ技術の開発など安全と環境の面でもさらなる挑戦が続いている。
http://tv.yahoo.co.jp/bin/search?id=24944942&area=tokyo
新幹線40年の歴史をたどった同番組の第一部は、主に技術開発の進展にスポットがあてられ、何だかJRのPRビデオといった印象を受けた。たしかに技術面以外にも、新幹線によってプロ野球がどう変わったのか大沢啓二に語らせてはいたものの、新幹線が人々の生活や文化に与えた影響といった切り口が期待したよりも少なかったのは残念。まあ、技術についてただ賛美するだけでなく、昨年の新潟県中越地震では、地震が直下型であったため、ユレダスと呼ばれる地震早期検知警報システムが作動しなかったという事実をきちんと紹介していたのはよかったけれども(でも新幹線の歴史を振り返るなら、名古屋新幹線騒音訴訟などにも少しぐらい触れるべきではなかったか)。
ぼくが関心を持ったのはそんな第一部よりもむしろ、昨年11月に東京で開催された第4回高速鉄道国際会議の模様と、各国の高速鉄道をめぐる状況(特にヨーロッパでの高速鉄道網の拡大)をとりあげた第二部だった。たとえばEUでは、飛行機・高速鉄道・自動車をそれぞれの特長に合わせて使い分けるという考えのもとで交通網の計画が推進されているという。翻って日本では、空港と新幹線と高速道路との計画が足並みをそろえるなんてことが、果たしてこれまでにあっただろうか? すでに新幹線の駅がある神戸や静岡に空港建設の計画が持ち上がるといった事例などを見ていると、とてもそうは思えない。騒音や省エネ対策など新幹線そのものの技術革新ももちろん必要だろうが、そろそろほかの交通機関との関係を踏まえて新幹線計画全体を見直すべき時を迎えているのではないか。ふと、そんなことを考えさせられた。