巨匠とはどういう人物を指すのか?

そういえば、旧都庁のコンペで丹下は最年少の参加者であったが、現在の都庁を建てる際のコンペでは最年長の参加者だった……ということをどこかで読んだ憶えがある。この事実だけでも丹下がいかに息の長い作家であったかがわかる。しかもそれまでポストモダン建築を強く批判していたにもかかわらず、新都庁のコンペで彼が提案したのは、ポストモダン建築の要素をふんだんに取り込んだものであったことは当時かなり話題になったものだ(といってもぼくは伝聞でしか知らないけど)。ここらへん、死ぬまで若手作家に嫉妬し続け、現役であり続けようとした(そして実際にあり続けた)手塚治虫などに通じるものがあるように思う。いや、そもそも巨匠とはそういう人のことを指すのだろう。

【参考】丹下健三・都市・建設設計研究所