帰りぎわ、水戸芸術館のミュージアムショップを覗くと、展覧会の関連書として磯崎新の『建築の解体 一九六八年の建築情況』(鹿島出版会)も並んでいたのだが、4000円以上もして手が出せなかった。その代わり、名古屋発の芸術批評誌『REAR[リア]』no.9(2005年冬号)を買う。税込368円也。同号の特集は「愛知万博をアートで楽しむ」というもので、巻頭には中日新聞プロデュースのパビリオン「夢みる山」(富士山をかたどった屋根がベタすぎて笑えます)の総合演出を手がけた押井守と五十嵐太郎による対談が掲載されていた。記事中の写真では、中日新聞の社章の入ったヘルメットをかぶった五十嵐氏に対して、押井氏は「狗」という文字(それもどこか象形文字っぽいデザイン)の入ったヘルメットをかぶっているのがうかがえる。対談の中で大阪万博について訊かれた押井氏は、《ぼくらは当時、粉砕する側だったから行ってないですよ》と答えているのだが、あのヘルメットにはやはりそんな政治の季節に青年時代をすごした彼の世代的アピールみたいなものが込められているのだろうか。