Culture Vulture

ライター・近藤正高のブログ

渡る世間は鬼ばかりで男はつらいよ

早朝の番組『週刊フジテレビ批評特大号』でテレビ版『男はつらいよ』がとりあげられていた。同作が映画化される前年(1968年)の10月より半年間放映されたこのテレビ版では、長山藍子がさくらを演じ、杉山とく子がおばちゃん役を演じたそうだが、ん? この組み合わせは別のドラマでも見たよーな……と思い出してみたら、この二人は『渡る世間は鬼ばかり』では嫁姑の関係にあったことに気づく。ついでにいえば、『渡鬼』で長山藍子の夫役を演じているのは、映画版『男はつらいよ』でのさくらの夫役である前田吟だ。そう考えてみると、『渡鬼』において弥生(長山の『渡鬼』での役名)の一家だけは妙に『男はつらいよ』と縁の深い構成になっているのだなあ。
ちなみにテレビ版『男はつらいよ』の映像は、フジテレビには第一回と最終回の分が残っているだけだという。同じく渥美清主演で『男はつらいよ』に先駆けて放映された『泣いてたまるか』は最近デアゴスティーニからDVDマガジンとして復刻されているが(http://de-club.net/ntd/)、『男はつらいよ』の復刻はどうやら無理そうである。