4月号で万博特集を組んだ雑誌『ケンガイ』(芸文社)はその後どうなっているのだろうか? とふと思って調べてみたら、何と、あの号をもってすでに終刊していたようである(参照:ネコスタ5月10日付「すでに伝説となった雑誌「ケンガイ」」)。
同誌については以前も書いたが(http://d.hatena.ne.jp/d-sakamata/20050328/p3)、特集以外は出会い系の記事や広告が誌面を埋め尽くしているという変な雑誌だった。その創刊号(2004年11月号)から各号の特集を列記すれば、「80年代アイドル映画200」「ゲーム&ウォッチ コンプリート」「80年代プロレス大百科」「R30ボクらが歩んだお笑い道30年史」「ケンガイ版こんにちはパソコン」、そして「万博×万博」という具合で、おそらくは20代後半から30代のサブカル好きをターゲットにしていたであろうことがうかがえる。ここらへん、『ウラBUBKA』にも通じるものがあるだろう(創刊したのもほぼ同時期だし)*1。しかも両誌ともに、一区切りをつけた時期までほぼ一致してしまった。
そこで思ったのは、やはりいまやサブカルとエロの相性は悪いのか……ということだ。もちろん、『ウラBUBKA』は、『ケンガイ』ほどにはエグくはなかったが、出会い系の広告が載っていたりして書店ではエロ本にまぎれ込んでいることが多かった。ところが、それゆえにこれらの雑誌がターゲットにしていたはずの、いわゆるサブカル好きの人たちにはあまり目に入ってこなかったのではないだろうか。また逆に、エロの要素を求めてる人たちにはサブカル的な要素があるために手に取ってもらえなかったのかもしれない。
かつてサブカルチャーとエロは親和性が高く、70年代末から80年代にかけての自販機雑誌などに顕著なように、エロ本がサブカルチャーをとりあげることは珍しくなかった。しかしいつからか、エロ本からサブカルチャー的な要素が消えてゆき(これについては、宮台真司などがよく象徴的にとりあげているが)、マーケット的には両者は別々のものになってしまった。
結局、『ケンガイ』も『ウラBUBKA』も、かつてのエロ本のように、エロとサブカルの同居を目指したものの、上のような趨勢には太刀打ちできなかったと考えるべきなのか。それでも個人的には、両誌とも復刊してリベンジを果たしてもらいたところだが。今後の参考のためにも、この機会に『ケンガイ』のバックナンバーをまとめて買ってしまおうかと思う。
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『ケンガイ』の前身は、おそらくこの『衆刊圏外』というムックではないだろうか。表紙がいかにも『週刊現代』のパチモンという感じで、いかがわしい匂いがプンプンしますなー。