訃報というのはあいつぐもので、草森紳一氏同様、僕がその著書をかなり所有している人物のひとりである原田勝正氏が亡くなった。
それにしても共同通信配信の訃報のそっけないこと。
原田勝正氏死去 和光大名誉教授
2008年4月10日 19時30分原田 勝正氏(はらだ・かつまさ=和光大名誉教授、日本鉄道史)7日午前10時、呼吸不全のため東京都内の自宅で死去、77歳。東京都出身。近親者で密葬を済ませた。喪主は妻文子(ふみこ)さん。
「満鉄」「日本の国鉄」などの著書がある。
(共同)
たしか、和光大学での教え子には切通理作や丸田祥三の各氏がいたはずだ。僕にとっては、その著作を通じて、日本の近代史において鉄道が果たした役割への興味を抱くきっかけを与えてくれた人である。いや、ネット書店で原田氏の名前を検索しその著作一覧を見て思い出したのだけれども、それ以前に、中学時代にこの本を学校の図書室で借りて読んだ記憶があるなあ。
上の記事に出てくる『満鉄』と『日本の国鉄』はいずれも岩波新書。僕の本棚には同じく岩波新書の和久田康雄氏の著書『日本の私鉄』『日本の地下鉄』とともにならんでいる(おそらくいまはどれも絶版か品切れになっているのだろうが……と思ったら昨年末にこんな本が出てたらしい。「増補」ということは岩波新書版の増補なのか?)。あと、原田氏の編著で『大東亜縦貫鉄道関係書類』(ISBN:9784835010076)なんて本も持っていたりする。
それ以外にも、ちくまライブラリーから出た『国鉄解体』という本はなにかと重宝した。これ以上、戦後の国鉄の歴史をコンパクトにまとめた本はないんのではなかろうか。そう考えると、国鉄民営化後の日本の鉄道を論じた著作が意外にもあまりないのは惜しまれる。
ともあれ、謹んで哀悼の意を表したい。