意表を突き続けたアーティストの意表を突く死

 ネットのニュースサイトで野田凪の訃報(9月7日死去)を知る。34歳とは若すぎる。公式サイトによれば、数年前に起きた事故の後遺症から用いた強い鎮痛剤誤飲による不慮の事故だという。
 そういえば当ブログでは、彼女の手がけたHALCALIのアルバムジャケット(2004年リリースの『音樂ノススメ』)と、会田誠の作品との類似を指摘したことがあった(→当該記事)。あとになって、ジャケットはべつのものに変更されていたが、やはりこのことが問題となったからだろうか?(ウィキペによれば、《2005年7月1日より総売上100,000枚突破を記念してニュー・ジャケット仕様で出荷されている》とあるが)
 ただ、そのことを割り引いても、意表を突くアイデアの作品が多かった。たとえば、元ジュディマリYUKIのシングル曲「センチメンタルジャーニー」(2003年)のPVでは、YUKIと同じ髪型のかつらをかぶったそっくりさんを大勢ならべて、人形アニメーションならぬ「人間アニメーション」を手がけている。このPVは上記公式サイトから視聴することができるが(「HOME」→「Works」→「Music video,Short film,Commercial」の順で移動)、ピンクのドレスを着たYUKIが、飛び込んだ家で老婆が死んでいるのに遭遇し、何とまあ最後は喪服でたたずむところで終わっている……。ちなみにこのアイデアは、YUKIが妊娠中で激しく動くことができなかったことから出されたものらしい。
 それから、月桂冠のキャンペーンのCM(2003年)も忘れがたい。原色の着ぐるみキャラクターたちが「げっ! げっ! 月桂冠! 月桂冠! 月桂冠を買うと〜♪」という奇妙な歌(歌うのは西川のりお)に合わせて踊るという、そのあまりのインパクトに圧倒されたものだ(このCMも公式サイトで視聴することが可能)。
 作品以上にそのつくり手の死が意表を突くものだったのは残念だ。謹んで哀悼の意を表したい。