本日、日経ビジネスオンライン内「日刊新書レビュー」にUPされた拙稿「麻生首相の、冬休みの一冊〜『大平正芳――「戦後保守」とは何か』福永文夫著」から当ブログへ飛んできてくださった皆さん、いらっしゃいませ。
僕はこれまでにもいくつか、政治について短い文章を発表しているのですが、今回の新書レビューも含めて、戦後政治に対し文化の方面からアプローチを試みたものが目立ちます。例をあげるならこんな感じですね。
- 「石原都知事がオリンピック招致にこだわる理由」(「週刊ビジスタニュース」 2007年1月24日配信分)
- 「黒川紀章・都市に恋した男」(同2007年10月17日配信分)
- 「“広告ブーム”の総仕上げとしての細川政権」(同2007年11月28日配信分)
あと、歴代総理ものとしては、ちょうど福田前首相の辞任直後にUPされた本田雅俊『総理の辞め方』(PHP新書)の書評もあげておきます。上記の文章とあわせて、この機会にお読みいただければ幸いです。
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大平正芳といえば、昨年6月に発表した「オリンピック・ボイコットに効果はあるのか?」(「週刊ビジスタニュース」2008年6月11日配信分)でもとりあげたモスクワ・オリンピック(1980年)に際し、開催国であるソ連のアフガニスタン侵攻に抗議するため、アメリカに同調して日本のボイコットを決めた首相でもありました。とはいえ、今回とりあげた中公新書の『大平正芳』にも書かれているように、大平のソ連観はそんなに厳しいものではなかったといいます。
これに対して、反ソ連・反共産主義を前面に押し出していた人物が政権を担当していたイギリスやオーストラリアといった国々(それぞれサッチャーとフレーザーが首相を務めていた)では、政府の牽制にも屈せず選手団がオリンピックに参加しており、何とも皮肉を感じてしまいます。
まあこれには、当時まだ日本オリンピック委員会(JOC)があくまでも日本体育協会の一委員会にすぎず、その独立性を認められていなかったということが大きく原因しているわけですが。
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余談ながら、大平正芳をYMOとからめて書くというアイデア自体は、実はかなり前から温めていたものだったりします。それだけに今回こうして発表することができたのは、とてもうれしいです。