野口「4兄弟」の物語になっていたドラマ『1942年のプレイボール』

8月12日に総合テレビで放送されたドラマ『1942年のプレイボール』を、NHKオンデマンドで視聴する。

本作は、4人の兄弟が全員中京商業からプロ野球に入った「野口兄弟」を、次男の野口二郎(演:太賀)を主人公に描いたもの。末っ子の渉さんは生前、私の友人と同じ職場(中日新聞の関連会社)で働いていて、話をすることもあったという。渉さんは兄弟のプロ野球での活躍について「いつも野口『3兄弟』と言われるんだ」と自分がカウントされないことを笑いながら語っていたらしい。だが、今回のドラマはまぎれもなく「4兄弟」の物語になっていた。

兄たちは中京商業時代、野球に十分打ち込めた。それなのに渉(ドラマでは福山康平が演じていた)は、同じ学校に入ってもすでに時代は戦争に突入し、満足に野球ができず、将来にも希望が持てない。ドラマの後半では、そんな不満を兄たちにぶつけるシーンもあった。

多くの記録を打ち立て野球殿堂入りも果たした二郎のほか、長男の明(演:勝地涼)は中日ドラゴンズの初優勝に貢献、三男の昇(演:斎藤嘉樹)は残念ながら戦死したとはいえ、上の3兄弟はそれぞれ球史に名前を残している。それに対して渉はプロ入りしたとはいえ、記録らしい記録も残さないまま引退、べつの道を歩むことになる。