今回の選挙には巨怪の亡霊がさまよっている……?

きのう書いたままそのままにしていたエントリー(というか与太話)をUP。
堀江貴文はひょっとしたら「平成の正力松太郎」になろうとしているんじゃなかろうか?
先週末、ふとそんなことを思い、かなり前に買い置きしたままになっていた佐野眞一の『巨怪伝』(文藝春秋、1994年、ISBN:416349460X)を、本の山をかき分けてさらにその奥にある書棚から引っ張り出してくる。同書で参考になりそうな箇所をざっと読んでみると、たしかに「プロ野球球団経営に食指を動かす→民放経営にも手を伸ばす→衆院選出馬」という正力のたどった道は、その内実や結果はともかくホリエモンと重なるかもなーとあらためて思った。
いや、そうした符合は置いても、総選挙初当選直後に、保守合同による自由民主党の誕生に裏で深く関与した正力松太郎と、それからちょうど50年後、自民党がぶっ壊れるかもしれないと言われる総選挙に、正力と同じくメディア企業の経営者として名乗りをあげた(その経営規模はかなり違うけど)堀江貴文というのは、非常に対照的ではないか。さらにいえば、1949年のプロ野球の2リーグ分裂にも正力はコミッショナーとして深くかかわっているわけで、それから55年後の球界再編騒動の発端をつくった堀江とはその点でもまた興味深い対照をなしている。
もっとこじつけためいたことをいうなら、ホリエモン国民新党を立ち上げた亀井静香対立候補となったわけだが、国民新党党首の綿貫民輔は、正力松太郎の地元だった旧富山2区から出馬し(それも正力が政界を引退し亡くなった年に)初当選している。そう考えると、ホリエモンは亀井よりも綿貫の対抗馬になっていたら、より正力との因縁を強調することができたのになー……なんつって*1
しかし、堀江貴文衆院に出馬して、一体何をたくらんでいるんだろうか?

*1:もっともっとこじつけるなら……
堀江貴文はメディア企業の経営者であり、その対抗馬である亀井静香は元警察官僚と(でもって、二人とも東大出身)、両者の経歴を合わせると正力松太郎になる。
正力松太郎は戦前より鳩山一郎と親交があり、総理となった鳩山の後任の座を狙っていたとも言われる。一方、堀江貴文に出馬を要請した小泉純一郎の属する森派は、自民党内でも「自主独立・憲法改正」を主張してきた鳩山派の系統につらなる。
●正力はその政策として原子力の平和利用を掲げ、初代科学技術庁長官に就任した。一方堀江の本業であるインターネットは、もともと核戦争後も使えるネットワークとして開発されたものである。いずれの仕事も核の時代を背景にしている。
●とりあえず、正力もホリエモンナベツネを敵視していた点では確実に共通する(笑)。正力は、東大の学生時代に左翼運動を経験したのち読売新聞社に入社した渡邉恒雄氏家斉一郎(現・日本テレビ取締役会議長)らを「東大出身のアカの連中」として嫌っていたようだし、ホリエモンナベツネの関係についてはここで書くまでもない。