未来派2009

 きょうはマリネッティが『フィガロ』紙上で「未来派宣言」を発表してからちょうど100年を迎えた日なんだそうで(Japan Knowledgeの「Daily知識浴」で知った)。
 1909年2月に発表された同宣言は、同年5月には早くも文芸誌『スバル』において森鷗外の抄訳によって紹介されている(鷗外訳の「未来派宣言」はこちらで読めます)。
 で、未来派100年といえば、どうしても1986年に坂本龍一細川周平が刊行した『未来派2009』(朝日出版社)を思い出してしまう。“未来派100年を記念したブックレット”という仮定のもと企画された同書の扉には、2009年版の百科事典から「未来派」の項目が“引用”されていた。僕も10年以上前に、この本を古書店で入手しており、いまでも部屋のどこかにあるはずなのだが……ま、それも引っ越しの前には発掘できるだろう。
 なお、『未来派2009』と同年には、坂本龍一は『未来派野郎』というアルバムをリリースしている(タイトルの「野郎」とは、発表年の「'86」との語呂合わせなのではないか……というのが私の長年の持論なのですが、本当のところはどうなんでしょ)。このアルバムに収録された楽曲のうち、「Ballet Mécanique」がもっともよく知られているのではないだろうか。同曲は岡田有希子に坂本が提供した曲を歌詞を変えてセルフカバーしたもので、後年、NHKの『未来派宣言』(山根一眞司会。1996〜2000年)のテーマ曲として使われたほか、林家三平のビデオ(たぶん1992年に旧東芝EMIからリリースされた『復活!昭和の爆笑王 林家三平!』)でもエンディングでかかっていた記憶がある。ついでにいえば、やはり坂本プロデュースによる角川文庫の『ゴクミ語録』(1987年)では、後藤久美子がお気に入りの曲としてこれをあげていたっけ。
 さらに1999年には『クロニック・ラヴ』と改題、再度の歌詞変更の上、中谷美紀がリリースしたことは記憶に新しい……って、もう10年前のことだけど。