Culture Vulture

ライター・近藤正高のブログ

日本48番目の県にはこんな街が…

どうにか回復したようなので、しとしと降る雨の中を青山のPinpoint Gallery(http://www.pinpointgallery.com/)で開かれている山田心平君の初個展を見に行く。心平君は、ぼくがひところ大変お世話になった中野ハルコロホールのオーナー代理・山田真珠美さんの息子さん。ぼくが同ホールを毎月のように出入りしていた頃――もうかれこれ5年ほど前――には、まだ高校生だった心平君だが(当時彼の教わっていた美術教師が、何と古屋兎丸氏だったりする)、こうして個展を開くまでになるとは感慨深い。
今回展示された作品は、直方体の建物の上にさらに屋根のついた建物が乗った、そんな奇妙な建築物の数々が描かれた木版画だ。作家自身は、今回の個展について次のように説明している。

日本の48番目の県、
碁盤の目のように道路で区切られた街の風景を
伝統木版画の技法を用いて浮世絵にしました。
作品のタイトルは住所を表記しています。
今回は新たに制作した未発表作品23点を展示
する予定です。
見てくれた人が少しでもその街に行った気持ちになり
なんとなく懐かしさを感じてもらえればうれしく思います。

http://www.pinpointgallery.com/yamadashipei.html

会場にいた心平君に訊いてみたところ、どうやら彼の頭の中では、まだ未完成ながらそれぞれの画に描かれた建物がマッピングされているらしい。いつか、そのイメージが完成したら、いままで描いた建物がすべて配置された街の鳥瞰図みたいなものも描いてほしいものだ。