プロ野球各球団史

球界再編問題で揺れた今年はプロ野球誕生70年の年でもあった。その節目にあたってベースボール・マガジン社からは『日本プロ野球70年史』(ISBN:4583038089http://www.bbm-japan.com/top/topics/baseball70year/index2.html)なんて本が出されたが、持っていればきっと重宝するであろうとは思うものの、いかんせん値段が高すぎる。税込でも31,500円って、少数の研究者か図書館ぐらいしか買わねーだろう。
それにしても、これだけムック形式の週刊事典の刊行が盛んな中で、どこの出版社もプロ野球各球団史というシリーズをやらないのは不思議だ。これまでの12球団の歴史だけでも毎月一冊ずつ刊行すれば一年続けられるのに、一体どうしたことだろう。そもそも、巨人や阪神はともかく、ほかの球団の通史というのは意外とないし、あってもいまでは入手困難だったりする*1。そのせいもあって、ファンでありながらぼくは中日ドラゴンズの歴史というものをあまりよく知らない。
そもそも通史がないということは、歴史がないがしろにされていることに等しいのではないか。そのことがパリーグが経営危機にありながら、その根本的な問題が何十年も放置され続けてきたことにつながっていると言うこともできるだろう。そういえば、プロ野球経営評論家の坂井保之の『波瀾興亡の球譜』を読んでいたら、著者が太平洋クラブライオンズの球団代表時代に、巨人がこれまでどんな危機を乗り越えて人気球団となっていったのか、自分の球団経営の参考にするためその球団史を細かく分析したという話が出てきた。いま球団の経営者たちにもっとも求められるのは、そういった球団の歴史を真摯に振り返ることではないだろうか?

*1:消滅した近鉄については今年になって由比精一『魅惑の球団近鉄バファローズ』(新風舎ISBN:4797437715)、『週刊ベースボール』増刊『さらば大阪近鉄バファローズ』、大阪バファローズ研究会『近鉄バファローズの時代』(イースト・プレスISBN:4872575040)など立て続けに通史が出されたが。