天才も筆不精?

「ヒトゲノム地図」の完成が発表されたのと同じ号の『ネイチャー』には、次のような記事も掲載されているらしい。

筆無精のパターンは……名高い天才も凡才も同じ
2005年10月27日08時00分

 手紙の返事は先延ばしにするほど書かなくなるもの。アインシュタインダーウィンも、現代の電子メールも、その傾向は変わらないことが統計解析でわかった。

 27日付英科学誌ネイチャーによると、米国の研究者は2人が知人らとやりとりした手紙の日付をもとに、手紙をもらってから返事を出すまでの日数を調べた。

 日がたつにつれて返信が減る様子を曲線に描くと、電子メールの送受信の統計と同種の曲線に。論文は「名高い天才も凡才も、課題から逃れようとする行動原理は同じ」と分析している。

 http://www.asahi.com/national/update/1027/TKY200510270080.html

《手紙の返事は先延ばしにするほど書かなくなるもの》、か。たぶん原稿にも同じことが言える気がする、きょうこのごろ。
この『ネイチャー』の記事に関しては、翌日の報道で次のような紹介もされていた。

偉大な頭脳は手紙をたくさん書く=アインシュタインは3万通をやり取り
2005年10月29日 (土) 08:16

時事通信

【パリ28日】人類史上最も偉大な天才アインシュタイン(写真)とダーウィンは手紙書き魔だったと米国およびポルトガルの学者たちが英科学週刊誌ネイチャー最近号に書いている。2人は受け取った手紙も多かった。

インディアナ州ノートルダム大学とポルトガルのアベイロ大学の学者たちの研究によれば、進化論の父チャールズ・ダーウィン(1809−82)は生涯に7591通の手紙を同僚たちに送り、6530通を受け取った。19世紀にこれだけの手紙をやり取りしていた個人は珍しい。

一方、20世紀最大の科学者とされる相対性理論アルバート・アインシュタイン(1879−1955)は1万4500通以上の手紙を送り、1万6200通を受け取った。

2人は有名になったあとで手紙のやり取りが増えており、両者とも受け取ってから大体10日以内に返事を出している。〔AFP=時事〕
 http://news.goo.ne.jp/news/jiji/geino/20051029/051026193105.tx7u0qyu.html

先に紹介した記事では、《名高い天才も凡才も、課題から逃れようとする行動原理は同じ》とあり、ダーウィンアインシュタインも筆不精であったのかと早合点してしまうが、翌日に出た記事を読むとまったくそんなことはなく、むしろ筆まめさの度合いにおいて、両者は人並外れていたことがわかる。やはり天才と凡才とのあいだには、深くて暗い川があるようで……。