『Re:Re:Re:』最新刊への反響

前日に当方の個人誌『Re:Re:Re:』最新刊を買っていただいた円堂都司昭さん(id:ending)が、さっそくレビューを書いてくださっていました。ありがとうございます。

今回の特集は、シドニー・オリンピックのマラソンの時間にあわせ、東京オリンピックのマラソンコースを走ったことを綴った文章の再録を中心とし、書き下ろしも収録。筆者が、ランニングに日の丸をつけて走った時の写真が表紙になっている。こんなアホなこと、よーやったな。
http://d.hatena.ne.jp/ending/20061113#p1

「こんなアホなこと、よーやったな」とは、最高の褒め言葉です。
そもそもぼくが現代史に興味を抱いたのには、東京オリンピック大阪万博の存在が大きい。大阪万博についてはひとまず置くが、東京オリンピックに関心を抱いたきっかけはいまでもよく覚えている。それは、いまからかれこれ21年前、NHKで放映された戦後40年の終戦記念日特番*1東京オリンピックの映像を見たことだった。その第一部の最後、それまで終戦直後の子供たちの栄養失調を報じるニュース映画だのモノクロの映像がずっと続いてきたところへ、いきなり疾走してくる東海道新幹線をレールの下から撮ったカラー映像が流れたかと思うと、画面は真っ青な空の下で行なわれた東京オリンピックの開会式の様子を収めたVTRに切り替わり、そのままエンディングに入るのだった。
いまにして思えば、もしあれがモノクロの映像だったら、あるいはカラーでもフィルムに記録された映像であれば、おそらく印象はだいぶ変わっていたような気がする。というのも、あのときぼくは東京オリンピックの映像に対して、遠い昔のできごとというよりも、むしろ現在と地続きのできごととして惹かれたように思うからだ。当時(80年代半ば)すでにテレビの映像はフィルムからVTRが主流になっていたわけだし、ぼくのなかで、VTRで残された東京オリンピックの映像は同時代の映像と同列のものとして無意識のうちに扱われたことは十分に考えられよう。もちろん、こんな推測はあとづけにすぎない。しかしぼくにとって現代史への関心とは、失われた時代への羨望というよりも、現在とのつながりのほうが圧倒的に大きな動機づけになっていることを考えると、この推測はあながち間違いでもないように思われるのである。

*1:NHKアーカイブス「NHK特集」の放映リストを確認してみたところ、やはり1985年8月15日に「日本・戦後40年の記録」と題して「Ⅰ 廃墟の中から」「Ⅱ いま、豊かさの中で」の二部構成で放映された番組のようだ。