平岡正明死去

 午前中、速水さんのところで第一報に接して驚いた。その後公式にも発表された模様(共同通信の記事)。
 平岡氏といえば、ちょうど一ヶ月前に、その新刊『昭和マンガ家伝説』(平凡社新書)を「日刊新書レビュー」でとりあげたばかりである。ただ申し訳ないけれども、同書からは往年の精彩が著しく失われているという印象を受けた。その直後に会った同じく平岡ファンの友人とも、最近の平岡正明の文章はやけにダレて締まりがなくなってるよね、なんて話をしていたのだが、やはり体の衰弱がそのまま反映していたのだろう。
 結局、あのやたらと編集の粗さが目立つ新書が最後の著書になってしまったのは残念だが、得るものがまったくなかったわけではない。くだんのレビューの後半にも書いたように、平岡氏の評論が土地に対するリアルな感覚にもとづくものであることにあらためて気づかされたことは収穫だった。こうした平岡氏のスタンス――土地の性格を規定するファクタとして、鉄道が頻繁に登場する(なかでも横須賀線京急はよく出てきた)ことも含め――には僕もそうとう影響されているように思う。その意味において、拙著『私鉄探検』は確実に平岡氏の著作の延長線上にある。
 葬儀ではやはり平岡氏の盟友だった(『どーもすいません』などの共著もある)僧侶の上杉清文上人が読経されるのだろうか? そのへんも気になるところだが、ともあれ、偉大なる先達に対し心より哀悼の意を表したい。合掌。

新書457昭和マンガ家伝説 (平凡社新書)

新書457昭和マンガ家伝説 (平凡社新書)

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 朝日新聞での訃報を読んでいて、これで「世界革命浪人」、またの名を「三馬鹿ゲバリスタ」の三人(竹中労太田竜平岡正明)が全員亡くなってしまったことに気がついた。
 太田竜が亡くなったのもつい最近、5月19日のことだが、彼についてはライターの大山くまおさん(id:kumaokumao)が「週刊ビジスタニュース」6月24日配信分掲載の「世界と人類のために疾走し続けた男・太田龍の軌跡」でくわしく書かれているのでぜひ参照されたい。
 それにしても、「ビジスタ」ではその次の号でも忌野清志郎マイケル・ジャクソンの追悼文をそれぞれ円堂都司昭速水健朗の両氏が寄稿していて、妙に追悼づいてますね。