鉄の音楽

昨日新宿のタワレコで買ったCDの一枚『スペース・シアター EXPO'70鉄鋼館の記録』をさっそく聴いてみる。同CDに収録されているのは武満徹の「クロッシング」と高橋悠治の「エゲン」、それからクセナキスの「ヒビキ・ハナ・マ」の3曲。「ヒビキ・ハナ・マ」は、『the early gurus of electronic music:1948-1980』(ASIN:B00004T0FZ)という電子音楽のアンソロジーにも入っているが、この盤に収録されているのはまったくの別ヴァージョンで、これがおそらく原曲であり、『the early〜』に収められたヴァージョンではさらに色々な音が上からかぶせられ時間も短くなっている(ちなみに『スペース・シアター〜』版は17分22秒とかなり長い)。武満の「クロッシング」は、最後のほうに女声による合唱が入るのだが、これがちょっと怖い。子供が聴いたらその晩一人でトイレに行けなくなりそう。でもこういった曲を手がける一方で、同じ年には黒澤映画の『どですかでん』の音楽をつくっていたりするんだから、武満という人はつくづく幅の広い作曲家だったのだなと思う。
ところでこれらの曲が一体どのようなシチュエーションで流されていたのか気になって、手元にあった『EXPO70伝説』(メディアワークスISBN:4840212929)という本で調べてみたところ、鉄鋼館というパビリオンについて次のような説明があった。

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スティーヴ・ライヒと坂本龍一と

きのう買ったもう一枚のCDはスティーヴ・ライヒの『アーリー・ワークス』(ASIN:B00005HHFX)。先月海浜幕張の駅前ビルの新星堂で買った『ライヒ:ベスト』(ASIN:B00000JAJB)を聴いて以来、ぼくの中ではちょっとしたライヒブームが起きている。『アーリー・ワークス』を買ったのは、ライヒ自身の選曲による『ライヒ:ベスト』には「クラッピング・ミュージック」(1972年)以外入っていなかった初期作品を聴いてみたかったから。このCDに収められた「ピアノフェイズ」(1967年)はよくテレビでも耳にするが*1、中毒性が高くてつい繰り返し聴いてしまう(20分以上ある曲なのに!)。曲の終わりの部分では、琴の連奏を彷彿させる箇所があったのだが、これはやはり日本の音楽を意識したものなのだろうか。

*1:このあいだなど、『はねるのトびら』で、バカ話で盛り上がるサラリーマンたちのすぐ隣りで男二人組が哲学用語を連発してやたら難解な会話を展開するというコントのBGMにこの曲が使われていた。蛇足ながら、このコントではインパルスの板倉俊之がルサンチマンを「ルサマンチン」とあきらかに素で言い間違えてるのに、誰もツッコまないのが妙におかしかった。

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