スティーヴ・ライヒと坂本龍一と

きのう買ったもう一枚のCDはスティーヴ・ライヒの『アーリー・ワークス』(ASIN:B00005HHFX)。先月海浜幕張の駅前ビルの新星堂で買った『ライヒ:ベスト』(ASIN:B00000JAJB)を聴いて以来、ぼくの中ではちょっとしたライヒブームが起きている。『アーリー・ワークス』を買ったのは、ライヒ自身の選曲による『ライヒ:ベスト』には「クラッピング・ミュージック」(1972年)以外入っていなかった初期作品を聴いてみたかったから。このCDに収められた「ピアノフェイズ」(1967年)はよくテレビでも耳にするが*1、中毒性が高くてつい繰り返し聴いてしまう(20分以上ある曲なのに!)。曲の終わりの部分では、琴の連奏を彷彿させる箇所があったのだが、これはやはり日本の音楽を意識したものなのだろうか。
それにしても、手拍子だけで演奏される「クラッピング・ミュージック」をはじめ、ライヒの音楽は手法としてはとても実験的なのに、こんなにもとっつきやすいとは思いもよらなかった。そもそもぼくがライヒを聴こうと思ったのは、この正月2日にNHK-FMで放送された「坂本龍一ニューイヤースペシャル」を聞いたのがきっかけである。佐々木敦氏が聞き役を務めたこの番組で、教授は高校時代に、ミニマル・ミュージックの代表作ともいうべき「ピアノフェイズ」を聴いて衝撃を受けたということを語っていた。それ以外にもこの番組では小学校時代におけるグレン・グールドとの出会いや、それに続くビートルズドビュッシーと出会った際の衝撃と、教授の音楽遍歴が語られ、さながら「坂本龍一による世界音楽史」といった感じだった。すでに10年ほど前に山下邦彦氏の労作である『坂本龍一音楽史』(太田出版ISBN:4872331125)というでかい本が出ているが、ここはもう一冊、佐々木氏をインタビュアーに立てたよりコンパクトな教授版音楽史を望みたいところ。もちろん、できることならCD付きで。

【参照】佐々木敦氏による「NHK-FM 坂本龍一特別番組 構成案」(atsushi sasaki@faderbyheadz.com 1月20日付

*1:このあいだなど、『はねるのトびら』で、バカ話で盛り上がるサラリーマンたちのすぐ隣りで男二人組が哲学用語を連発してやたら難解な会話を展開するというコントのBGMにこの曲が使われていた。蛇足ながら、このコントではインパルスの板倉俊之がルサンチマンを「ルサマンチン」とあきらかに素で言い間違えてるのに、誰もツッコまないのが妙におかしかった。