「年譜のおじさん」

「少女作家25年史年表」(id:d-sakamata:20040117)はARTIFACTさん経由でいろんな方にリンクしていただいたようですね。どうもありがとうございます。こういうデータベース的なものは、やはりネットの世界では重宝されるのだということを実感しました。
年表といえば、10年ほど前の『スタジオボイス』の文学特集に掲載された武藤康史ショートショート風のコラムに「年譜のおじさん」なる人物が出てきて、ひどくあこがれたことがあった(高校時代のことである)。彼は、卒論のテーマを「田中康夫」に決めたものの四苦八苦する女子大生のために、出版社に勤める彼女の先輩が連れてきたという設定で登場し、その素性は次のように紹介されている。

五十近いのに定職にも就かないで、鎌倉時代歌人や近世の漢詩人や現代作家などの年譜を作って食べているという人なのだ。文学全集などの年譜を作ると原稿料がすごくいいらしく、一年に一人分作れば十分生活していけるらしい。
(『スタジオボイス』1992年2月号)

いま改めてこの文章を読んでみると、果たしてこんな人物が実在するのだろうかと疑問を抱いてしまうのだけれど、実際にそんな仕事/生活ができるのならしてみたいとはいまでも思う*1。でもって、卒論で困ってる女子大生たちの前に突如現われては、さりげなくアドバイスを与えて去っていくのだ(だからといって簡単に参考文献を渡したりなどはせず、あくまでもさりげなくヒントを与えるくらいにとどめておこう)。サウイフオヤヂニ ワタシハナリタイ

*1:よく考えてみたら、これを書いた武藤康史という人自身が「年譜のおじさん」と同じような仕事をしているわけで、ひょっとしたら年譜を《一年に一人分作れば十分生活していける》というのは彼の願望なのではないだろうか? そんな気もする。