み〜んな悩んで大きくなった♪

『近代日本総合年表』を入手してからというもの、持病の年表フェチがぶりかえしたのか、『日本文化総合年表』なんてものも買ってしまう。そもそもこの年表は松岡正剛が紹介しているのを読んで興味を持ったのだが*1、明治から大正にかけての文学者の動向がやけにくわしく記述されていて面白い。たとえば1880〜81年あたりの項目を見ると、《二葉亭四迷、3度目の陸軍士官学校の入試に失敗》(翌81年に東京外語学校ロシア語学科に入学)*2、《森鴎外、下宿上条で罹災》《坪内逍遥フェノロサ政治学の試験に失敗、給費生資格を失い、9月より、塾鴻櫨学舎を開く》《島崎藤村、上京し、京橋の長姉宅から泰明小学校に通学、北村透谷の弟垣穂と同級となる》などといったできごとが並んでいる。ここに出てくる人物に関しては、それ以後も関連するできごとが続けて記載されているので、その活動を時代の流れとともに追うことも可能だ。こんなに人間臭いできごとが次々と出てくる年表はそんなにないのではないだろうか。ただし戦後に入ると、ナントカ賞の受賞だの作家の誰それがナントカに対する声明を発表だのといった味気ない項目が多くなり、とたんに面白くなくなってしまうのが残念。ま、時代が近くければ近いほどいろいろと差し障りも出てくるのだろうけど。

*1:松岡正剛のサイトでは同年表の編者として「堤清二」の名があげられていたので、おっ! と思ったのだが、現物を見たら「堤精二」の間違いだった。全然別の人じゃんかよー。

*2:たしか二葉亭が陸軍にこだわったのは、その場所が自分の生まれた尾張藩の屋敷のあった市ヶ谷だったためだというのを何かで読んだ記憶があるなあ。