アメリカの元ニュースキャスター、ウォルター・クロンカイトの訃報が伝えられる。17日死去、92歳。もっとも、キャスターという語は、故・筑紫哲也の『ニュースキャスター』(集英社新書、2002年)によるとどちらかといえば和製英語に近く、本家のアメリカでは、アンカーマン、またはアンカーというのが一般的で、現役時代のクロンカイトももっぱらアンカーと呼ばれていたという。
ちなみに、筑紫が『NEWS23』で毎回ラストで口にしていた「きょうはこんなところです」という決まり文句はクロンカイトが元ネタ。本家は担当していた『CBSイブニング・ニュース』を毎回、その日の日付とともに“And that's the way it was”と締めくくっていた。
クロンカイトといえば、ベトナム戦争報道で有名である。それまで中立主義をとっていた彼だが、1968年初頭、ベトナムの戦場に飛び、その帰国後のレポートのなかで、《これまで我々は指導者の楽観主義に欺かれてきた。いまやとるべき道は和平交渉しかない。それも勝者としてではなく、民主主義を守ろうと苦悩した名誉ある国民として》と語りかけ衝撃を与えた。これを見た、ときの米大統領ジョンソンは、《クロンカイトを味方として失ったとすれば、それは国民を失ったと同じだ》と側近につぶやいたという。ジョンソンはその後、北爆停止を決定するとともに同年の大統領選出馬を断念したが、クロンカイトのレポートはそのことに少なからず影響を与えているともいわれる(以上、引用は能登路雅子「ウォルター・クロンカイト」、朝日新聞社編『二十世紀の千人6』、1995年より)。
ベトナム戦争関係ではまた、つい先日(6日)、ケネディ〜ジョンソン政権の国防長官(その前職はフォード社長)としてベトナムへの軍事介入を推進し、そして泥沼にはまったロバート・マクナマラが亡くなったばかりだが、調べてみたら、くしくもクロンカイトと同じ1916年生まれだった。
……と、とくにオチもなく、以上、きょうはこんなところです(←要はこれが書きたかっただけ)。