回想集『草森紳一が、いた。』が、届く。

 一昨年3月に亡くなった文筆家・草森紳一について、友人・仕事仲間らによる回想集『草森紳一が、いた。』が昨年末に出版されていたことをおととい(11日)、十勝毎日新聞の記事(1月6日付)で知って注文する。すぐに代金払わなきゃと思っていたら、早くもきょう本が届いた。さっそく手配していただき、ありがとうございます。
 この回想集の巻末には、草森の亡くなった3カ月後の2008年6月に開かれた「偲ぶ会」での、出席者のあいさつが採録されている。そのあいさつに立ったなかに、大学時代の先輩である評論家の紀田順一郎や元『話の特集』編集発行人の矢崎泰久などに交じって、建築家の磯崎新や放送ジャーナリストのばばこういち、小説家の車谷長吉といった人がいたのには、ちょっと意外な感じを受けた。
 このうちばばとはとくに親交が深く、草森は亡くなる3年ほど前に吐血したとき、鎌倉のばば宅でしばらく静養していたという。「偲ぶ会」において、草森に対し「共に九十も九十五になっても生きていこうじゃないかと言っていたにもかかわらずさっさと死んでしまう。許せないという感じがしております」と語ったばばも、昨年、77歳で逝った(井上ひさしと同じ4月9日に亡くなっている)。今回の回想集には、ばばに代わり夫人(馬場美耶子)が寄稿している。
 このほか、じつに多くの人が寄稿していて、非常に読みでがある。パラパラとページを繰っていたら、建築家の山下和正が、草森から郷里・北海道帯広に建てる書庫の設計を請われたときのエピソード(書庫の外観・内部の写真のほか、設計図も掲載されている)を寄せているのを見つけた。そういえばこの人、このあいだNHKブラタモリ』の総集編に、古地図コレクターとして出演していたっけ。
 なお、草森の蔵書のうち、東京のマンションに遺された約3万冊の本は、このたび、帯広大谷短期大学に一括して寄贈され、昨年秋には同短大内に「草森記念資料室」がオープン、一般に公開されるようになった。機会があれば、ぜひ足を運んでみたいものである。