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ライター・近藤正高のブログ

「バファローズ」消滅へ…呼称存続を否定(nikkansports.com)

太陽の塔を国宝にしろなんて言っていた人たち――椹木野衣氏とか――は、同じく岡本太郎の手がけたバファローズのシンボルマークについては何も言わないんだろうか? マークを残すために球団名を存続させろというのは本末転倒かもしれないけど。バファローズの名称存続については、Jリーグの川淵三郎キャプテンがこんな入れ知恵もしていてZAKZAK川淵キャプテンキラーパス!? 猛牛名称存続へ妙手」)興味深い。個人的には、名称をブルーウェーブに統一するとか、思い切って変更するとかよりは、やはりバファローズの名を引き継いだほうがしっくり来るのだが。
ちなみに岡本太郎バファローズのマークを手がけたのは、そもそも元巨人でその後バファローズの監督を務めた千葉茂と交友があったからだとか。昔の『スタジオボイス』を漁っていたらこんな記事を発見。

SV――近鉄バッファローズのマークのデザインをしたというのは、本当ですか。
岡本――ええ、前は後楽園の関係でねぇ。素人の野球チームを作って、僕が監督じゃなかったかも、主将だったかもしれないけど、とにかくあそこで野球やったし。夜になると電気つけて、無料でね。で、そこで野球やった時、長嶋とか藤田かな、あの時のジャイアンツのショートは藤田だったかな……?
SV――広岡ですか。
岡本――広岡! よく知ってるねぇ。
SV――ええ、まー。
岡本――広岡と、それから……なんちゅったかなァ……。
SV――王貞治ですか?
岡本――いや違う違う。王もよく知ってるしね。長嶋もよく知っているけど。……人の名前をすぐ忘れるからね。自分の名前も。……例のバッターの……。
SV――千葉茂ですか。
岡本――そう。千葉と、広岡と、一緒にやったわけだ。お遊びでね。
SV――それはすごい!
岡本――それで、千葉がジャイアンツを辞めて、で、近鉄パールズつったのかな、そこに入っていって、彼の仇名がバッファローだったんで、バッファローズっていう名前にしたから。それで僕にね、マークを作ってくれって言ってきて、「まあいいや、あれだけ付き合ってもらったんだから」ってわけで、マークを作ったのがアレなんだ。
岡本太郎インタビュー、『スタジオボイス』1982年10月号)

このあと、ひいきの球団はあるのかと訊かれた岡本だが、どこもひいきはしないと断言(バファローズについても「勝ったらいいなあ」と思うぐらいでひいきはしないとのこと)。さらには、ある時、テレビ局から野球について訊かれた際の回答を披露している。これがいかにも岡本太郎らしい発言なので紹介しておこう。

(引用者注――テレビ局が)セ・リーグパ・リーグの優勝戦があるけど、どっちをひいきしますかって聞くから、「野球なんてどっちもひいきしないよ。どっちだっていいじゃないか、勝ったら勝った、負けたら負けたで」って。勝つってことはどういうことかって言うから「え? 負けたほうがベストを尽くして負けた。そのおかげで勝たしてもらったんだから、ベストを尽くして負けたほうが、優勝を決めたんじゃないか。だから負けたほうが『万歳!』と言え。勝ったほうは『ああそうか』と思えばいいんだと」と。
(太字は原文ママ

するってえと、これまでに近鉄バファローズは日本シリーズにおいてこれまで四度、「優勝」を決めたわけですな。でも、3年前の秋に近鉄が神宮でヤクルトに敗北するのを実際にこの目で見てる自分としては、さすがにそこまでポジティブには考えられないような……。