もはや本と心中するしかないのかと思い始めている人たちのためのブックマガジン創刊

近所の本屋を覗いたら、『ミケランジェロ』(メディアストーム社)という新雑誌が出ているのを見つけた。『ダ・ヴィンチ』のパチモン臭漂う同誌創刊号のカバーガールは浅香友紀。それをひっくり返すと表4(裏表紙)には同じく彼女の出演しているほのぼのレ●クの広告が……*1。これは消費者金融で金を借りてでも本を買えというメッセージなのか!?*2
さらにこの号の特集はといえば、「著名人100人アンケート・監獄に入った時に差し入れしてほしい本」というもの。巻頭には、《「無人島本」なんて生ぬるいことを言っている時代は終わった。個人情報保護法施行などにより表現の自由が危機を迎えている昨今。ひょっとしたら表現者たちが続々と監獄に送られる日も近いかもしれない。その時、彼/彼女らは檻の中で何を読むのか? かつて大杉栄は監獄に送られるたびに外国語を一つマスターしたというが(中略)本誌では、作家やジャーナリストなど言論の世界で活躍する人々にそれぞれ「監獄本」をあげてもらうことにした》と編集人によるアジテーションめいた主旨説明が掲げられ、花輪和一桑田次郎見沢知廉高橋源一郎etc……といった人たちがアンケートに回答している。って、よく考えたら、この人たちはすでに監獄生活を体験してる人じゃん!
そのほか、この事件を受けて「本で床が抜けたっていいじゃないか ―本をためこむ男たち」と題する緊急企画が組まれ、「書斎などいりません。いま私に必要なのは倉庫です」などといった香ばしい発言が飛び出す蔵書家たちの座談会や、本や雑誌はどのぐらいの量に達したら床が抜けるのか、実際にモデルルームを使って『暮しの手帖』の商品テストばりの実験が行なわれたりしている。これはぼくにとってもすごく切実なものが感じられる企画だ。
また連載にも、各地の書店のトイレを相川博昭撮影の写真*3とともに採点する「書店トイレ採点表」や(今回は三省●書店本店をとりあげ、ライターが同店で買ったばかりのこれを実際にトイレで使うという試みに挑んでいて笑える)、毎回女子高生たちに出版業界のしくみを教えてゆく「女子高生のための出版入門」(第一回は「大宅文庫で集めた資料だけで記事をでっちあげる」というものであった……)、読者たちが古本屋で買った本などにあった書き込みや挟まれていたものを紹介しあう「本の来歴」、文芸誌新人賞で下読みを行なっている人たちが、選には漏れたもののこれぞという作品をこっそり紹介する「新人賞落選小説批評」など、従来のこの手の雑誌にはなかったような一風変わった企画が目白押しである。
しかしこんなある意味掟破りとも言うべき雑誌が果たしていつまで続くのか。巻末の予告によれば、次号より大型企画として「サブカルチャー風土記」(ん? どこかで聞いたようなタイトルだな)なる連載が始まるというが*4、とりあえず期待して待つことにしたい。
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ふぅ、何とか4月1日中にこのネタをUPすることができた……。

*1:表1と表4がタイアップになっているのは『CM NOW』と同じだが。ちなみに浅香友紀はかつて図書券・図書カードの広告に出ていたこともある。

*2:なお創刊号の編集後記によれば、同誌のパイロット版の表紙では、松浦亜弥似の紋舞らん後藤真希似の後藤まみなどハロプロのアイドルのそっくりさんのAV女優を集めたらしい。

*3:そういえば、相川氏は阿部和重の『ABC戦争』文庫版(ISBN:4101377227)の表紙を洋式トイレの便座で飾っていたっけ。

*4:その第一回では「長崎県」をとりあげ、長崎出身の吉田修一の短編小説や、村上龍を「半島出身者」という観点から論じた「半島から(・∀・)デテケ!!」と題する一文などが掲載されるらしい。