『団塊パンチ』創刊

きょうあたりぼちぼち書店に並びはじめたと思うのですが、赤田祐一氏編集の新雑誌『団塊パンチ』(飛鳥新社ISBN:4870317214)が創刊されました。創刊号では、1960年代特集の一企画「60年代の101冊を選ぶ」の対話構成をはじめ、ぼくもいくつかの記事のテープ起こしをさせてもらっています。個人的には赤田さんから仕事を依頼されたのは、自分が『Quick Japan』編集部をやめて以来、実に9年ぶりのことで、感慨深いものがあります。
その見本誌が先週土曜日に届き、ひととおり読んでみて受けたのは、全体的に文字が大きく、余白が大事にされているなあという印象でした(写真よりも、挿絵が多く使われているのも特徴でしょう)。それには読者層とする団塊世代の老眼対策ということも当然あるのでしょうが、一方で、誌面を何も情報でびっしり埋め尽くさなくてもいいのだという、ある種の余裕をぼくは感じました。赤田さんが10余年前に創刊した『Quick Japan』の誌面が、細かい文字や写真で埋め尽くされ、どこか空白恐怖のきらいがあったことを考えると実に対照的です。ひょっとしたら、成熟とは、空白を恐れなくなるということなのかもしれません(笑)。
団塊パンチ』については、先週末のasahi.comの記事でも紹介されていますが、さらに先立って、先月19日に首都圏の一部地域で『朝日新聞』に折り込まれたタブロイド版『平凡パンチ』ではすでに創刊告知が出ていました。ただし、タブロイド版『平凡パンチ』は、朝日新聞の配達されている家、それも首都圏でもごく一部の地域に配送されただけらしく、本当に限られた人の目にしか触れることがなかったようです。ぼくもなんとかして手に入れたのですが、その紙面における赤田さん自身による告知の文章に、新雑誌の目指すものが端的に示されているので、ここに引用しておきます。

「ジャニスの原理」という法則がこの世にあるのだと、編集者の先輩から聞きました。
「ジャニスの原理」とは、10年たつと、時代の前衛に位置していたものが後衛になり、後衛が前衛になるという、一種の時代力学である――といいます。
「ジャニスって、ジャニス・ジョプリンのことなんですか」と先輩に聞くと、「分からない」。東由多加がよく言ってたんだ」。気になって調べると、東京キッドブラザースの本で、語られていた。「時代遅れになっても気にしちゃいけない。時がたつと、いつかまた、時代の最先端を走ってるってわけさ」と。無記名だったが、たぶん東由多加本人の発言ではないか。もはや真相はうかがい知ることが出来ないが、このネーミング、面白いと思いません?
平凡パンチ』の復刊も、いわば、「ジャニスの原理」が時代に作用したのかもしれません。で、小生は現在、不肖、栄光の「パンチ」という名前を拝借させていただきまして、『団塊パンチ』という、新しいサブカルチャー雑誌を鋭意編集中なのです。
 ――『朝日新聞』(2006年3月19日付)広告特集『平凡パンチ

この文章に出てくる「ジャニスの原理」は『団塊パンチ』創刊号の扉にも掲げられており、同誌のキーワードとなっています。
来月19日には、神保町の東京堂書店にて創刊記念イベントが行なわれるようなので、こちらのほうも参照をば。
 ■
創刊号の編集後記に、『団塊パンチ』のブログをはじめましたと書いてあるんだけど(赤田さんが「消えた雑誌 二〇世紀篇」という連載をはじめたらしい)、URLが見あたらない……。どこだろう?